京大・神戸大 経済学部編入試験に向けての独学

私が実際に合格しました、京都大学、神戸大学の経済学部編入試験について書き記したブログです。

大学編入のための数学

 この記事では、経済学部編入試験の数学、主に微分積分線形代数について、用いた参考書などについて書きたいと思います。

 

はじめに 

 受ける大学によっては数学も勉強する必要があり、私が受けた大学ですと、神戸大学東北大学の経済学部編入試験では経済学に加えて数学も試験として課されます。京都大学は経済学のみです。数学が課される場合、筆記試験の半分を占めることになりますので経済学の勉強と同じくらい重要になってきます。

 

出題範囲と難易度について

 経済学部の編入試験において、多くの場合、数学=微分積分線形代数になるかと思いますが、あくまで経済学部の編入試験ですので基本的な出題が中心です。この関数の偏微分を求めよ、この行列の固有値を計算せよ、といったような基本的な問題が多いです。

 一方で市販されている多くの微分積分線形代数のテキストは基本的に理系の学生向けに書かれているものが多く、全てに取り組むということはオーバーワークですのでまずは志望大学の過去問を見て出題範囲を絞ることをお勧めします。個人的には微分積分偏微分、全微分の簡単な計算まで、線形代数は行列の固有値を求めるまでがたいていの大学の編入試験の範囲ではないかと思います。

 大学別の難易度についてはもちろん大学によりますが、神戸大学東北大学といえども、出題される数学はそこまで難しくはないかと思います。神戸大学東北大学で難易度を比較すると、私が受けた印象としては、神戸大学東北大学かと思います。過去問を見ていただくと分かるかと思いますが、神戸大学は簡単な計算問題を多く出題するのでそれらは難しくなく容易に得点できると思います。ただ、大問のうち1つだけ難易度の高いものがあります。大抵の場合、その大問の配点は20点ありますが、これは解けなくても問題ありません。本番では私は解けませんでしたし、おそらく大半の受験者も解けていません。もちろん、解くことができると大きなアドバンテージですが無理に狙う必要はないかと思います。ε-δ論法の基本的な知識が必要となるような問題も出題されますので時間があれば勉強してもいいかもしれません。一方、東北大学ですが、過去問が公表されていないので曖昧なのですが、覚えている限りでは、関数のグラフの問題や行列の証明問題も出題されていたかと思います。その点において、神戸大学より少し難易度が上がるのではないかと思います。

 

神戸大学過去問のススメ 

 神戸大学の過去問については何度かすでに紹介しているのでしつこいかもしれませんが、神戸大学の過去問は本当にお勧めです。やはり答えも一緒に公開していることが大きいです。また、その難易度も一部を除いて基本的なものですので問題演習としても最適ですし、各大学そこまで出題範囲に差があるとは思いませんので、経済学部の編入試験の数学はどういう範囲から出題されるかの基準になるかと思います。神戸大学志望の方はもちろん、他大学志望の方も一度ご覧になってください。

 

参考書レビュー

1冊でマスター 大学の微分積分

 私が微分積分の勉強の際にメインに用いたテキストです。公式の証明もある程度載っています。公式を導出出来ることは、万が一公式を忘れてしまった際にも問題ないこと、また公式を導出する際の式の変形等のテクニックが証明問題を解く際に役に立つことがあることなどから重要であると考えています。
 表紙の通り、「単位が取れる」ことを謳っており、たしかに証明の厳密性に欠けるかとは思いますが、経済学部の編入試験ではとりあえず解けることが重要ですので問題ないかと思います。問題集も付属しており個人的にお勧めです。
 注意点としては、この1冊全てを勉強することは、経済学部の編入試験ではオーバーワークになります。簡単な偏微分や全微分を解けることは必要ですが、おそらく重積分などは出題されないかと思われます(傾向が変わりやすいので"おそらく"ですが...)。過去問を見て判断してください。
 そして、最も注意すべき点があります。それは、多変数関数の極値判定をする際の、「ヘッセ行列」を用いた方法が載っていないことです。確か判別式を用いた方法が紹介されていたと思います。一方で、編入試験では、極値判定の問題の出題の際、まず小問としてヘッセ行列を答えさせる問題が出る可能性があります。このテキストだけで勉強しているとその時点で"詰み"です。大きな配点を失ってしまうことになります。必ず、別途「ヘッセ行列」について勉強しておいて下さい。

 

1冊でマスター 大学の線形代数

 私の線形代数を勉強する際のメインテキストでした。上記の微分積分編が良かったので同じシリーズであるこのテキストを購入しました。こちらも全てに取り組むとオーバーワークになりますので過去問で出題範囲を確認しながら取り組んでください。だいたい、固有値を計算するあたりまででしょうか。
 さて、この本の評価ですが、上記の微分積分編と比較すると少し微妙かなと思います。私自身、線形代数は苦手で、故にこのテキストが微妙であると感じたかもしれませんがこの本で線形代数をあまり理解できていなかったように思います。ただ、そのような状態でも実際の試験問題は解くことができたのでまぁ良しとします。また、付属の問題集には取り組みませんでした。(すこし難しく感じました。正直経済学部の編入試験よりレベルが高かったように思います。)
 私は読んだことがありませんが、線形代数の有名なテキストに「マセマシリーズ」があるので、もしかするとそちらの方が良いかもしれません。

 

編入数学徹底研究

 編入数学とありますが、このテキストは高専生を主なターゲットとしたテキストですので、言わば理系向きですが、このテキストの微分積分線形代数パートは経済学部の編入試験対策でも役立ってくれました。線形代数微分積分以外の数学の分野の問題も収録されていますのでそちらを解くことはもちろん必要ありません。

 私がこのテキストをお勧めする理由としては、この本の微分積分線形代数パートの例題が基礎的な問題であり、似たような問題が神戸大学等で出題されているからです。なので、良い演習となります。一方で各パートの章末問題はレベルが高くなり解く必要はありません。例題を繰り返しときましょう。

 

新版 演習微分積分

 数学の問題演習をもう少ししたいということでこのテキストにも取り組みました。後に院試で使用した問題集です。収録問題が多く解説も丁寧な問題集です。編入試験対策としては、全ての問題に取り組むのではなく、基本的な問題や苦手な問題を選んで解いていました。私自身積分が苦手でしたので積分の問題を中心に取り組んでいました。優先度は低いテキストですが、解く問題がなくなった、もう少し微分積分の問題演習をしたいという方にはお勧めです。

 なお、おなじシリーズに新版演習線形代数がありますが、そちらはレベルが少し高く経済学部の編入試験においてはあまり適していないと思いましたので購入しましたが使用しませんでした。こちらも院試の際には使用しました。

 

最後に

 ここまで読んでいただきありがとうございます。数学は経済学にも必要なものとなってきますので苦手な方も編入試験の際に頑張って勉強すると、ここでの勉強が後になって役に立つことは多いのではないかと思います。この勉強がこの先役に立つんだと考えると少しは頑張れる気になれるのではないでしょうが。頑張ってください!!